こんにちは、Kajiです。
今回のテーマは『革靴の値上がり』についてです。
こんな記事にたどり着いてしまう
革靴がなによりもお好きなあなたにとっては
他のどのニュースよりも革靴の値上がりが響いていることでしょうねw
消費者物価指数をみても
革靴の値上がりは明らかです。
- 革靴の値上がり現状
- 革靴の値上がり原因
- 革靴の値上がり未来
3部構成で解説していきたいと思います。
では早速いきましょう。
【現状】革靴の値上がり
Church’s革靴の値上がり
革靴好きにとっては完全に悲報ですが、
革靴の値上がりが止まりません。
2021年現在でも止まりません。
英国のクラフトマンシップを伝えるコンセプトを持ち、
CHEANEY(チーニー)などの革靴も揃えるショップが
2021年4月にChurch’s(チャーチ)の値上げをしました。

Church’s Shannon
各革靴製品の内訳抜粋です。
■ WOMENS 価格改定商品(一部抜粋)
改定前 | 改定後 | |
BURWOOD MET | ¥105,600 | ¥140,800 |
BURWOOD WG | ¥86,900 | ¥114,400 |
DALIA | ¥81,400 | ¥102,300 |
KELSEY | ¥78,100 | ¥114,400 |
KETSBY MET | ¥110,000 | ¥147,400 |
KETSBY WG | ¥96,800 | ¥130,900 |
LANA | ¥92,400 | ¥118,800 |
LANA MET | ¥105,600 | ¥147,400 |
MONMOUTH WG | ¥96,800 | ¥124,300 |
RHONDA | ¥81,400 | ¥102,300 |
SHANNON 2WR | ¥86,900 | ¥107,800 |
SHANNON MET | ¥91,300 | ¥130,900 |
■ MENS 価格改定商品(一部抜粋)
改定前 | 改定後 | |
BURWOOD(Mens) | ¥96,800 | ¥124,300 |
CONSUL | ¥91,300 | ¥118,800 |
CHETWYND | ¥96,800 | ¥124,300 |
DIPLOMAT | ¥96,800 | ¥124,300 |
GRAFTON | ¥103,400 | ¥137,500 |
RYDER | ¥73,700 | ¥102,300 |
SHANNON(Mens) | ¥103,400 | ¥130,900 |
※全て税込表記となります。
メンズに人気のBURWOOD(バーウッド)が3万円ほどの値上がりなど、
値上がり率も半端じゃないですorz

Church’s Burwood
チャーチ以外ではイギリスのJohn Lobb(ジョンロブ)、
フランスのJ.M.Weston(J.M.ウエストン)、
アメリカのAlden(オールデン)も含め
約20年間で革靴の価格は20%〜50%値上がっています。
マドラス、スコッチグレイン、三陽山長の革靴値上がり
スコッチグレインや三陽山長など、
日本を代表する革靴ブランドも一斉に値上げを行っています。

山陽山長_プレステージライン
2020年の日本経済新聞の記事を引用します。
「モデロ」などのブランドを手掛けるマドラス(名古屋市)が今年9月に主力商品について1足400~2千円(税別、7~15%)販売価格を引き上げた。
19年にはリーガルコーポレーションが「ケンフォード」ブランドの商品について、「スコッチグレイン」ブランドのヒロカワ製靴(東京・墨田)が全製品について、「三陽山長」ブランドを手掛ける三陽商会も一部商品で値上げした。
値上げに際し、各社は注意を払う。「付加価値を上げるため履き心地がよくなる材料に切り替えるケースが目立つ」と高島屋の不破氏は話す。マドラスは一部品目の靴底に、滑りにくい材料を使ったり、すり減りにくい材料に切り替えたりしている。
革靴各社、素材を変えるなど付加価値を上げてくれようとしていますが、
値上がりの波には逆らえません。
高島屋での革靴値上がり率
高島屋での売り場のメンズ革靴の平均価格は
5年前と比べて16~18%上昇しています。

日本橋高島屋
値上がりの上昇率は
海外ブランド革靴が15%以上、日本ブランド革靴が12~15%です。
【原因】革靴が値上がりをする理由は?
一体なぜ革靴が値上がりをしているのでしょうか?
値上がりの原因は
一言で片付けてしまうと『製造コストの圧迫』です。
原材料の牛革や人件費などが製造コストに当たるのですが、
これらの価格が上がったことが革靴の値上がりに直結しています。
それぞれ説明していきます。
原因1:牛革の値上がり
爬虫類やコードバンなど、
一部を除き革靴は牛革が主な素材です。
この牛革が値上がりをしています。
例えばスコッチグレインは3年前に比べて20%以上、
三陽商会は10年前に比べて30%以上、
牛革の調達価格があがっています。
ともにヨーロッパの高級牛革を使っています。
原因1-1:ヨーロッパメーカーの寡占
牛革が値上がりをしているのは、
ヨーロッパの自動車・家具メーカーがレザーを大量に仕入れているために
ヨーロッパ産の牛革が品薄になっているからです。
需要が変わらずに供給だけ少なくなれば、
それは値上がりをしてしまいますね。。
原因1-2:牛原皮の品質低下
実は牛革をなめす前の牛原皮の値段は下がっているのです。
牛原皮:値下がり
牛革:値上がり
こんな状態です。
牛原皮は価値が下がっているのに、
牛革になると値上がりをするのは、
『牛原皮の品質が下がっている』という理由があります。
原皮の質が下がると、
牛革として供給できる数が減り牛革の値上げにつながるのです。
牛原皮の品質が悪くなっているのは、
まさかの『ダニ』に原因があります。
地球温暖化でダニが増え、
牛はダニに食われると傷を残します。
傷がある牛からは品質の良い原皮がとれない
または素材としてとれる原皮の範囲が減ります。
すると1頭の牛革から作れる靴が減り
革靴は値上げせざるを得なくなります。
地球温暖化はこんなところにも影響を及ぼしているのですね。
原因1-3:レザー色の多様化
牛革が値上がりをする原因の3つ目です。
近年消費者のニーズが多様化し、
これまで黒や茶色が主流だった革靴業界は
焦げ茶や薄茶など色のバリエーションを豊富にしたり、
パステルカラーなどもコレクションしています。
すると、牛革を染色する現場では
「1度の作業で着色する数量が減る分、牛革の単価が上昇する」
という現象が起こってきます。
原因2:人件費の値上がり
革靴はミシンを使っていても全自動では作れません。
つまり人間の介入が必要です。
ここで必ず人件費が発生するのですが、
人件費も上がっています。
例えば三陽商会では、
製造を依頼する工場で人件費が高騰しています。
「高齢化が進む靴の製造現場での待遇を改善につなげて、若手の雇用を確保してもらいたい」
という背景があるそうです。
靴を作る人たちは高齢化が進んでおり、
その原因の1つは給与の低さです。
少しでも労働環境を改善するためにお給料を増やせば
そのお金は最終製品の革靴へと響いてくるというロジックです。
【未来】革靴の値上がりは今後も続く?
残念ですが、
革靴の値上がりは今後も続きそうです。
なぜなら、値上がりの原因が複合的で短期的に解決できるものではないからです。
ユーザーの革靴への欲望は黒や茶などの単色でおさまりきるでしょうか?
温暖化で増えたダニは何年経てば減ってくれるでしょうか?
(というよりむしろ温暖化どんどん進行しててヤバい、、)
イチ消費者として悲しいですが、
これらの解決を待っている間にも革靴はどんどん値上げをしていくと思われます。
最後までお付き合いいただきありがとうございました!
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