こんにちは、KAJIです。
日本のレザー業界はどうなっているのか、
数字から紐解いてみました。
数字は野村総合研究所が作った
我が国皮革産業の国際競争力強化手法に関する基本調査報告書を参考にしています。
それではいきましょう。
日本のレザー業界の現状は?
我が国皮革産業は、近年、中国、東南アジア等からの安価な皮革及び皮革製品の輸入拡大等
により、多大な影響を受けている。また、最近の円安の進行や原皮の高騰が原材料調達コストを押し上げ、経営により深刻な影響を及ぼしている
レポートはこのような悲報から始まりますw
この文章だけでレザー業界がダメージを負っていることがわかりますね。
簡単にまとめると、
このような図式になります。
『コスト増 + 安い海外レザー輸入 = 日本のレザー業界やばい』
それではレザー業界の数字をみていきます。
レザー業界の市場規模(生産額)と企業数は?
日本のレザー業界を生産額でみた場合の市場規模は、
2011年時点で約3,000億円です。
これはタンナーや革製品のメーカーも含まれているので
レザー業界全体の数字とみていいと思います。
レザー業界の会社数は、
同じく2011年時点で約1,800社です。
従業員は約23,000人となっています。

我が国皮革産業の国際競争力強化手法に関する基本調査報告書_1
上記グラフをみると、
レザー業界の中でも靴業界が企業数も多く
生産額も貢献していることがわかります。
他業界と比べてレザー業界はどう?
これまでレザー業界の市場規模や会社数などをみてきましたが、
他の業界と比べた場合はどうなのでしょうか?
レザー業界の状況はよろしくないとなんとなく気づいていましたが
まずはこのグラフをご覧ください。

我が国皮革産業の国際競争力強化手法に関する基本調査報告書_2
レザー業界まさかの最下位です。。
(とりあえず石油業界高すぎw)
なんの数字かと申しますと、
左のグラフが「1事業あたりの生産額」です。
生産額÷企業数
でランキングがつけられています。
グラフによると1企業あたりの生産額は
2億円ちょっとということになります。
「1つの会社で2億円も生産してるんだから頑張ってるじゃん!」
個人で考えるとこんな風に思ってしまいますが、
1位の石油業界がレザー業界の80倍(160億円)も1企業で生産しています。
1企業あたりの生産額は以下のどちらかの条件で
ランキングが大きく後退します。
①生産額が少ない
②企業数が多い
ランキング最下位ということなのでレザー業界は①②どちらも当てはまっていそうです。
レザー業界は『零細企業が多く1企業あたりの生産額が少ない業界』と言えそうです。
そして左のグラフですが、
「1企業あたりの従業員数」をあらわしています。
従業員数÷会社数
でランキングされています。
こちらもレザー業界は最下位で、
1企業あたり14人です。
ランキング1位は情報通信なのでIT業界ですね。
2011年のレポートでもさすがに勢いのある業界という感じがします。
このグラフからも
レザー業界には零細企業が集まる業界と言えると思います。
海外と比べた日本のレザー業界の数字は?
日本の中ではレザー業界はランキングでことごとく最下位でしたね…
海外からみた日本のレザー業界はどんなものなのでしょうか?
こちらのグラフをご覧ください。

我が国皮革産業の国際競争力強化手法に関する基本調査報告書_3
左上はタンナーのランキングで、
イタリアは圧倒的すぎますが、
日本は他ヨーロッパ諸国と比べて肩を並べています。
生産額は45億円です。
右上のグラフは靴の製造についてで、
日本は136億円で5位です。
左下はバッグ製造のグラフで
日本は77億円で3位です。
このように海外と比べてみてみると
悪くない数字のようにも見えます。
『海外と比べて、イタリア以外のヨーロッパと同等の業界規模』
と日本のレザー業界はいえると思います。
日本のレザー業界のあるべき姿とは?
これまで書いたことから
以下のことがレザー業界には言えそうです。
『他業界と比べて、零細企業が多いため1企業あたりの生産額が少ない業界』
『海外と比べて、イタリア以外のヨーロッパと同等の業界規模』
小さな会社が集まっているレザー業界はどんなことをすれば
良いのでしょうか?
名実共にレザー業界のトップである
イタリアの状況から見ていきたいと思います
イタリアのレザー業界の戦略とは?
日本のレザー業界は零細企業が多かったですが
イタリアも同じく小さな会社が多いようです。
しかし小さな企業の利点を生かして
得意の分野に特化し、競争しながら協力しながら業界全体で成長しているようです。
イタリアには 1,000 を超えるタンナーが存在しており、お互いに競争が激しく、競争に勝つためにどうするかを考えている。業界の強みは競争が激しいこと。
小さい会社の方がクライアントの細かな要望に対応できる。1 工程しか行なっていない企業も多く、そのような企業が集積しており、それらが協力して生産を行っている。1 つのタンナーだけでは弱い。それらが集まって協力しているので強力なシステムを構築できている。
1970年台の後半からイタリア政府に強制的に環境対策を求められるようになった。しかし、多くは小さな企業だったので、個別では対応できる体力がなかった。それをきっかけに協力を行うようになった。
1 つの工程を専門的に行う中小企業が多く、そのような企業により生態系を構築している。
皮革産業の関連業者が有機的なエコシステムを作っている。
また、日本では当たり前となっている『卸』の存在がないことから
製造者と販売者が直接取り引きができているようです。
イタリアは日本のようにタンナーとメーカーの間をエージェント、卸が仲介することはなく、直接取引している。
卸を介さない場合
①コストが浮く②お互いのニーズがわかる
などメリットが盛りだくさんです。
日本のレザー業界がとるべき戦略とは?
上述したように、
イタリアと日本のレザー業界は構造が似ています。
小さな企業が集まってできている業界です。
しかしイタリアが圧倒的に伸びているのは
各企業の結びつきが強いからです。
しかし日本にはまだ結びつきが弱く
各企業が独立しておりレザー業界全体としてのコミュニケーションがないように思えます。
我が国皮革産業が国際競争に打ち勝ち、発展していくためには、皮革製造事業者(タンナー)や皮革製品製造事業者(メーカー)等が魅力ある最終製品を作り上げるとともに、その魅力を消費者に直接かつ分かり易く伝えて行くことが効果的と考えられる。
しかし、我が国では、タンナーやメーカー等は、お互いが独立した関係にあり、連携がとれている状況にあるとは言い難い状況にある。
海外においては、タンナーやメーカー等が様々な形で連携し、皮革製品を製造販売するなど競争力強化の一翼を担っている事例も少なくない。
わたしが日本のレザー業界のために貢献できること
わたしはレザーが大好きで
少しでもレザー業界に貢献したいと思っています。
このような現状でなにかできないかと考えた結果、
作り手と買い手が直接取り引きできる場を作ろうと思いました。
仲介業者を複数介せずに直接取り引きができるので
作り手さんは利益が多く残りますし、
買い手さんも安く買うことができます。
またメッセージで直接コミュニケーションがとれることによって
お互いのニーズがわかりますし
ビジネスパートナーとしての結びつきも強くなると信じています。
現在はOEM業者限定ですが、
ノウハウが溜まり次第レザー業界すべての個人や企業が
ネットで直接取り引きできる集まるサイトを作ります。
今後のレザー業界の発展を願って。
最後までお読みいただきありがとうございました!