こんにちは、Kajiです。
数年前からバングラデシュ製の
革製品を見かけることが増えました。
今回はバングラデシュの皮革産業について書いていきます。
バングラデシュの皮革産業はどう?
バングラデシュでは、
220のなめし工場、2500の靴製造工場が
皮革産業に携わっています。

https://www.akihito-yoshida.com/hazaribagh/
皮革と皮革製品を50カ国以上に輸出しており、
今後は年間5,000億円以上の輸出額になりそうです。
人件費が安いので生産にかかる費用が少なくてすみます。
バングラデシュではアパレル・ファッションに次いで輸出を行っており
2番目にバングラデシュの国益に貢献している産業といえます。
PumaやFilaなど世界の名だたるアパレル企業の革製品を作っています。
日本に最も多く革靴を輸出しており、
年間約400万足にもなります。
原皮加工からなめしまで一貫した生産体制があり、
革靴の部材メーカーの水準も向上してきています。
また、工場からの輸送体制も整備されています。
近年工業団地の整備が進むなどインフラが急速に整ってきており、
海外のオフィスや駐在員の住宅なども安く安全に確保することができます。
バングラデシュの皮革産業はサステナブル?
皮革産業が水質汚濁を生む?
バングラデシュの首都ダッカのハザーリーバーグ県は
皮革産業によって悪影響を受けています。
特に作業員の方々は
9割以上が50歳にならずに亡くなってしまっています。
動画をみると状況の悲惨さが伝わると思います。
2000年頃から水質汚濁が進んでいます。
以下引用します。

ハザーリーバーグの街中を歩いてまず気づくのは、辺りに広がる製革薬品のひどく不快な臭いだ。環境省によると、皮革加工工場から未処理の液体有毒化学廃棄物が1日に22,000㎥排出されており、ハザーリーバーグの河川、道路脇の排水路や運河に流れ込んでいるだけでなく、毒素は地下水にまで染み込んでいる。
排出された有毒化学廃棄物は住宅地に色のついた水たまりや池となって現れ、皮革加工工場地帯で働き生活する20,000の人々に大きな被害を及ぼしている。その多くは慢性の呼吸器系障害や皮膚病で、鼻中隔を破壊してしまうケースさえある。
生皮の加工にはクロミウムや硫黄、マンガンなどの有毒な化学薬品が使われる。労働者は換気の悪い工場で酸や染料などに浸った皮を素手で取り扱う。明かりといえば、せいぜい壁のヒビや隙間から差し込む光ぐらいだ。
「何度か医者に行く羽目になった」とサノール・ラーマン氏は言う。皮を扱う化学エンジニアだが、なめし工場での仕事を辞めざるを得なかった。「私の働いた工場では換気装置がなく、汚染された空気を吸っていた。労働環境に不安があり、健康被害から逃れるため最近ハザーリーバーグを離れた」
ラーマン氏の不安は十分な根拠に基づいたものだ。この3月には化学薬品を吸入したことで労働者3名が死亡したばかり。ラーマン氏は教育を受けているので、別の土地でも仕事を探すことができ運が良かったといえる。しかし、この地域に住む大半の人々にとってはハザーリーバーグで働き生活していく以外他に選択肢が無いのだ。
女性や子供の労働も問題視されています。
革なめし工場で働く子どもたち(11歳くらいの子どもも児童労働をしている)からも聞き取り調査をした。子どもたちも、化学物質に革を浸す、カミソリの刃でなめした革を切る、危険な革なめし用機械を使う、などの危険な仕事に携わっていた。女性や少女は、男性より賃金が低く、自分たちの仕事に加えて、通常男性がする仕事もやらされている、と訴えた。
ジャハ(Jahaj 17歳)は12歳の時から、ある革なめし工場で働いており、喘息、発疹、かゆみ、そして酸による火傷に苦しんでいる。革を持ち、革をなめすために多くの希釈された化学物質が使われる穴での作業を、ジャハは特に嫌っている。
「その穴の水には酸が入ってて、皮膚に触れると火傷するんだ。」と彼はヒューマン・ライツ・ウォッチに話す。「腹が減ったら、酸なんて関係なく、食事しなければならないんだ。」
水質汚濁の進んだハザーリーバーグはどうなった?
ダッカのハザーリーバーグでは世界で最も汚染された地区と呼ばれるようになり
国も無視できなくなりました。
2003年頃から皮革工場移転の話がでていましたが、
一向に話が進まず、ついに2017年に閉鎖されました。
引用です。

閉鎖された首都ダッカ(Dhaka)のハザーリバーグ(Hazaribagh)地区は、ムガール帝国の時代から数世紀にわたって製革工場が集まる皮革産地として知られていたが、大量の有毒廃水が市内の重要河川ブリリンガ川(Buriganga River)に日々直接排出されていたことから、環境活動家らが数年間にわたって閉鎖を訴えていた。バングラデシュの最高裁は先月、この地域の製革工場に対し、今月6日までに工場を閉鎖するよう命じる判断を下した。
工場が閉鎖されて汚染は止まります。
しかし作業者は工場に勤めていたため
生活資金を稼ぐことができなくなってしまっています。
皮革産業は衣料・縫製産業に次ぐ同国第2の産業で、業界団体は皮革産業に対する「悪質な動き」は産業の衰退につながると警告している。ある労働組合員は「われわれの生活は製革の収入で成り立っている。工場のオーナーは一時の損失で済むが、労働者は1日の食事2回分が奪われる」と訴えた。
皮革産業は環境を破壊しなければ
レザーを作れないわけではありません。
日本でも皮革生産とサステナブルを両立できている工場も多くあります。
記事にまとめています。

そんな日本の先駆者達がバングラデシュで
環境に配慮しながらも皮革産業を教える環境ができないものかと思っています。
最後までお付き合いいただきありがとうございました!
参考資料
https://www.jetro.go.jp/ext_images/theme/bop/precedents/pdf/marketcondition-footwear_201510_bd.pdf

