サーキュラーエコノミーの現状
- 地球の資源に限りがあるにも関わらず、世界の資源利用量は増え続けている。世界の資源利用量は、2000年前後と比べて10.26倍になっている。
- サーキュラーエコノミー(循環型経済)とは従来の資源を、調達、製造、利用、廃棄というリニア(直線)型経済システムの中で再活用を前提とせず「廃棄」されていた製品や原材料などを新たな「資源」と捉え、廃棄物を出すことなく資源を循環させる経済の仕組みのこと。
- サーキュラーエコノミーの経済価値は2020年時点で140兆円、2030年には450兆円に達する。
サーキュラーエコノミーの5つのビジネスモデル
- 5つのビジネスモデル
①サーキュラー型サプライチェーン
②シェアリングプラットフォーム
③PaaS(サービスとしての製品)
④製品寿命の延長
⑤回収とリサイクル - ①サーキュラー型サプライチェーンについて、再生もリサイクルもできない一方通行型の原材料を、環境への影響が少ない原材料に置き換える動き。
ナイキが製造するスポーツシューズとスポーツウェアのおよそ73%がリサイクル素材を含んでおり、製造廃棄物の99.9%は廃棄処分されず再生されている。
例えばナイキのフライレザー素材は、少なくとも50%が革のスクラップをリサイクルした天然皮革繊維からできている。 - ③PaaS(サービスとしての製品)について、企業が製品の所有権を持ったまま、その価値を「製品サービス・システム」上で顧客に提供する。
これにより、企業の関心は量(製品を売ること)から性能(製品の機能を売ること)に転換していく。
例えばレント・ザ・ランウェイ社はアメリカを拠点とするeコマース企業で、ブランド物のドレスやアクセサリーのレンタルサービスを提供。
本サービスには定額プランがあり、月額料金を払うことで継続的に新しい衣服をレンタルできるほか、送料、ドライクリーニング、レンタル保険料などの追加料金は発生しない。
2015年、サーキュラー型で包装問題を解決したことで、配送時の無駄を900トン以上削減した。 - ④製品寿命の延長について、「製品寿命の延長」とは、修理や部品交換ができるようにする、または二次市場で再販できるようにすることで、意図的に製品の使用期間を延ばすことである。
アウトドア用品、登山用品などの製造販売を行うパタゴニア社は、北米最大の修理施設を持っており、「2018年だけでも7万件の修理を行った」という。
これにより、ブランドロイヤルティが高まり、顧客から製品フィードバックを得やすくなるという点もある。
ファッション産業では、高級ブランドやH&Mでもこのモデルを積極的に導入し、環境への意識が高い消費者に向けて、古着の再販を進めている。
世界最大の低価格ブランド家具メーカーであるIKEAは、フランスとベルギーで「セカンド・ライフ・フォー・ファニチャー」という取り組みを通じて、クーポンと引き換えに顧客から家具を回収し始めている。